「陽茉、次、菊里先輩の番だぞ」
和くんの言葉で、ハッと我に返る。
危ない。
せっかく良い場所がとれたのに、一回目の跳躍を、見逃してしまうところだった。
――自分の身長よりずっと高いポールを持った先輩。
やがてかろやかに走り出し、リズムよく地面をける。
バーが近づくと、持ち上げていたポールの方端を地面につけた。
その瞬間、ポールがぐにゃりと曲がって、先輩が宙に浮き上がる。
ポールが真っすぐになり、頂点に着くと、危なげなく足からバーを越えた。
「すごい……」
「さすが菊里先輩だな。フォームがすげーキレイだし、当分余裕がありそうだ」
