李世先輩は私のことを知り尽くしている?


「久しぶりだな、陽茉!」

「そうだね。高校別々になってからは、全然会えてなかったから」



和くんは、私が言葉を詰まらせずに話すことができる、唯一の相手。


理由はよく分からないけど……家が近所で、それこそ赤ちゃんの頃から交流があったっていうのが大きいのかも。


私は、家族の前ではスラスラと話せる。



きっと、それとおんなじだ。




「そうだ、つぼみちゃん、元気にしてる?」

「え?」

「ほら、中学んとき陽茉が一番仲良くしてた子。高校も同じだったよな?」



「ああ……うん。元気にしてるよ」


「そっか!」



ニコニコと私の言葉を聞いてくれている和くん。




……和くんには、心配かけたくないな。



私はこれ以上深追いされたくなくて、話題を変える。



「そういえば、和くんが陸上部に入ったって、おばさんから聞いてたな。こんな観客席にいていいの?」


「あ~……それがさ、オレ、大会直前に足を痛めちまって」

「ええ、大丈夫⁉」

「ヘーキヘーキ。でもさすがに、大会は出られなくて。家で安静にしてろって顧問にも言われてるんだけど、こっそり見に来ちまったってワケ」


「なるほど。和くんらしいね」