李世先輩は私のことを知り尽くしている?


でも、残り2メートルを切ったくらいのところで、ずるりと指がすべってしまった。


「きゃっ!!」



途端に足も根から離れ、宙に浮いた体が地面にたたきつけられる。

幸いにも、落ち葉がたまっている所に落下したので、木の枝による擦り傷だけで済んだ。


うう、全身が痛い……。



あの高さから落ちただけでこんなに痛いなら、一番上から落ちたつぼみちゃんは……⁉



私は慌てて体を起こし、辺りを見回す。



「つ、つぼみちゃんっ!!」



つぼみちゃんは、私よりも崖から離れた所に倒れこんでいた。


ぐったりしていて、生気が無い。



「つぼみちゃん、つぼみちゃん!」

「…………うっ……」




声をかけ続けていると、ピクリと体が動いて、うめく。


よかった、意識はあるみたい!


つぼみちゃんも、落ち葉がかなりのクッションになったみたいだ。


大きな出血なんかもなさそうで、ホッとする。



「ど、どうして陽茉がここに……?」




つぼみちゃんに名前で呼んでもらえたのは、いつぶりだろう。


こんな状況だっていうのに、うれしくて、胸がギュッとなる。




「つぼみちゃんの悲鳴が聞こえたから……先生が来るまでなんて、待てないよ!」


「……バカじゃないの。ずっと無視してるウチなんかのために、ボロボロになっちゃって」




つぼみちゃんは皮肉めいた言葉を、息と一緒に吐き出す。


でももう、怒りの感情は感じられなかった。