あの日、私は全てを失った。

両親と喧嘩をして家を飛び出した若干、五歳だった私が家に帰って見つけたものは、血の海に倒れ伏せた両親の亡骸だった。

それからは目まぐるしい変化の連続で、ほとんど記憶が無い。

気が付いたら、身体が弱い年下の幼なじみの家の養子になっていた。

「あかねちゃんは、ぼくがまもるから!」

そんな彼が涙ながらに言ってくれた言葉が、今の私を形作っている。

そんな彼も、明日からは高校一年生として通学が始まる。

私も早く寝なければ、とベッドに寝転がり毛布に体をうずめる。

まだ、この時は知らなかった。

まさか、あんな事になるとは思いもしなかった。