夢にも思ってなかったよ。

順調に道を進み約束の場所へとたどり着く。
店内に入ると既に恵里菜が居て、ニコニコしながらこっちだと知らせてくれる。

「薫君、久しぶり! 
 全然会えなくて寂しかったんだよ!
 ママもパパも会いたがってるから今度家に来てね!
 わたし今日、会えるの凄く楽しみにしてたの。
 ねえ、ねえ!
 ここのランチ美味しいから頂きましょ!
 私の」と言ったところで薫君が口を挟む。

「悪いがランチを味わえる気分でないからコーヒーで、真夏はミルクティーで良いか?
 それと、長居するつもりはない。」

初めて聞く、薫くんの低く冷たい声に一瞬で場の空気が変わった。
ここのテーブルの誰しもがランチを食べるという雰囲気が消え去ったと思う。