溢れ出そうな涙をこらえようと上を見上げる。 そこには今にも泣き出しそうな空があった。 まるで、わたしのよう。 いっそのこと土砂降りになってほしい。 わたしが泣いていても誰にも気づかれないくらいの、土砂降りに。 全部洗い流して溶けたら、わたしの心は晴れるのかな。 日向のことを忘れて、一歩前に進めるのかな。 誰か、教えて───。 高校2年の夏になる前、付き合って1年記念日をすぎたすぐあとの出来事だった。