「ん?」
「あ、ううん。いいね映画。映画にしよっか」
無理に笑ってるけど本当は泣きそうだ。
日向の気持ちはもうわたしに向いていないんじゃないかって。
───「志穂ってほんとお気楽だよな。いきなり?いきなりなわけないだろ。もうとっくのとうにこっちは冷めてんの」
あの言葉は嘘じゃなかった。
あのときの冷たい態度も、背を向けていく日向も、全部現実に起こったこと。
むしろ今すぐにでも「好きな人ができた」と日向は去っていってしまうんじゃないか。
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