「大丈夫だって!確かにお前のお姫様、すごく可愛いと思うよ?でも俺のタイプとは違うから襲ったりとかはしないよ。そこまで飢えているわけじゃないしね」

とりあえずそう答えてくれたことにホッとする。若菜の大切な初めてを俺以外の男が奪うなんて許せない。そもそも、手が触れたり唇が触れることすら耐えられないくらいなんだから。

「ところで、報酬はちゃんとくれるんだよな?警察官が犯罪に加担しているってかなりまずいし」

「きちんと振り込むよ。とりあえず、若菜をしばらく預かってくれ。準備ができ次第迎えに行くから」

そう言い、電話を切る。今自分がどんな顔をしているのか、何となく想像がつく。きっとどす黒い笑みを浮かべているんだろうな。

「よかった……。これでまた若菜を愛することができる……」

今日、若菜が脱走してくれて逆にラッキーだったかもしれない。思い出したことだけど、今日から近所の人たちは、ハワイにある別荘にみんなで遊びに行くんだと前に話していた。だから若菜はあいつに頼る以外道がなかったんだ。