「………ハハッ……」

何故、口から乾いた笑い声が漏れるのかわからない。俺はただ壁に背中をつけ、ズルズルとその場に座り込んだ。心の中にぽっかりと穴が空いたような気分になっていき、疲れが波のように押し寄せる。

この五ヶ月、若菜がいたから仕事を頑張れた。若菜がいたからこんなにも笑えた。愛しい人とずっと一緒にいる幸せを感じて、若菜が同じ気持ちになってくれるようにと押し倒したい気持ちを堪えて、ずっと優しく接していたのに……。

心の中に広がるのは、若菜に逃げられた悲しみ、絶望、不安、怒り。若菜がいた五ヶ月でそれほど感じなかった思いが今、心の中で燃え上がっている。

「そうだ、あいつが捕まえてくれたかな?」

こういう時のために、前に連絡をしておいたしお金も渡してある。ちゃんと捕まえておいてもらわないと意味がない。

俺はすぐにスマホを取り出し、あいつに電話をかけた。なかなか電話に出ないため、イライラして拳を作って地面を何度も殴り付ける。