「えっ!?ちょっ……」

男性は戸惑っているけど、離すことなんてできない。私は泣きながら「助けてください!!」と必死で訴えた。

「信じてもらえないかもしれないですけど、私、誘拐されて五ヶ月くらい監禁されていたんです!!」

警察を呼んでください、と私が言うと「安心してください」と男性が私の肩に優しく触れる。私が離れると、男性は身分証を見せてくれた。その身分証に私の心が希望にあふれていく。

「僕の名前は黒岩秀(くろいわしゅう)と言います。僕は警察の人間です。もう大丈夫ですよ」

黒岩さんの笑顔に、私は安心しきってしまったのか、意識を失ってしまった。