そっと圭さんは私のお腹に手を当てる。その意味を理解し、私の胸がギュッと音を立てた。ダメだ。この人の流れに乗せられてしまったら……。

「圭くんの髪、サラサラだね」

「芸能人だからね。でも、若菜の髪も綺麗だよ」

圭さんの頭を撫で、時々あやすようにお腹を優しく叩いてみる。すると圭さんは幸せそうに微笑みながら夢の世界に入っていく。

「おやすみなさい、圭さん」

圭さんが眠ったのを確認し、私はそっとベッドを抜け出す。鎖が音を立てないよう慎重に動き、デスクの引き出しを開けていく。

一段目は、圭さんが仕事で使っているのであろうドラマや映画の台本が入っていた。二段目、三段目と探してみるけど財布はない。諦めそうになった時、三段目の引き出しの奥に何かがあることに気付いた。よく知った感触がする……まさか……。

「あった!」

喜びから大きな声を出してしまい、慌てて口を塞ぐ。恐る恐る圭さんを見ると眠っているみたいで安心した。