二人で映画を見て、ずっと圭さんに抱き締められたりキスをされたり引っ付かれていた。そのため、財布を探すことができていなかった。でも、今がチャンスだ。

私に一瞬キスをして、圭さんはスマホを片手にリビングから出て行く。その後ろ姿を見送り、圭さんがリビングから離れたのを見届けてから私はそっとソファから立ち上がった。

リビングでつけられている足枷は、地下室のものより長い。廊下に出ることはできないけど、広いリビングをぐるっと歩くことはできる。

「……どこにあるのかな」

泥棒のように音を立てないようにしたいけど、私が動くたびに鎖が音を立ててしまう。圭さんがリビングに入ってこないかドキドキしながら、私は引き出しなどを開けて財布を探した。

私の財布はミント色の可愛らしいものだ。お節介な幼なじみが高校を卒業した時にプレゼントしてくれたもので、とても気に入っている。それに幼なじみはお節介な性格だから、なくしたなんて言ったらどうなるか……。