心で思っていることと、今二人に言ったことは正反対で、牧さんに鋭い目で見られてしまう。カチカチと目の前で牧さんによる分析が行われている音がして、緊張が走った。

「……まあ、こんなにも大人しくしていますし、逃げる可能性はゼロでしょう」

牧さんがそう言い、私にずっと向けられていた鋭い目を圭さんに向ける。圭さんは「俺がこんなにも愛しているんだから、逃げるなんて選択ないでしょ?」と言い、私の肩を優しく抱き寄せた。

「ですが、もし逃げようとするならば、少々手荒な真似はさせていただきます」

再び牧さんの目が鋭くなり、私は「手荒な真似?」と訊ねる。体型も細めの彼女に手荒な真似なんてできるものなの?その思いは一瞬にして砕かれてしまう。

牧さんは、テーブルの上にスーパーで買ってきたのであろう特大サイズのメロンを置く。メロンをどうするつもりなの?

「季節上、スイカがありませんでしたので、スイカと同じくらいの大きさのメロンでお見せしたいと思います」