「私は紫水様に命を救われました。紫水様は私の主です。私は主のご命令ならば、どんな望みも叶えます。あの時から、私はそれを誓って生きているのです。あなたのお役に立つよう、ただそれだけを考えて……」

電話の向こうから聞こえた言葉に安心する。そして同時に、あの時に手を差し伸べておいてよかったと思った。俺と若菜の未来を祝福し、俺の望む未来を共に創ろうとしてくれる仲間ができたのだから……。

「ありがとう。報酬は給料とは別に出すよ。それくらいのことをしてくれるんだから」

電話の向こうの相手は断ろうとしていたけど、電話を切る。これ以上若菜を待たせるわけにはいかない。

マネージャーからの電話で感じた怒りはもう消えていた。若菜が決して逃げられない、逃げる希望を与えない檻や罠を作っていけることに喜びを感じているから。

絶対に若菜は逃がさない。一生俺のそばにいてもらう。

そんなことを考えながら、俺は若菜が待つリビングへと戻った。