自分の愛猫を大切に可愛がってもらっているというだけなのに、モヤモヤしてしまう。まあ、若菜が男に褒められていたあの時よりずっと可愛いものだと思うけど。でも、それだけ俺は若菜に夢中になっていて、独占欲が強いんだ。

「ねえ、ルルとリリばっか構ってないで俺のことも見てよ」

若菜の腕の中からルルを取り上げ、床に下ろす。ルルは最初不服そうな顔で俺を見ていたけど、すぐに諦めてリリとキャットタワーで遊び始めた。

それを見届けてから俺は若菜を見つめる。やっと若菜の目に俺が映った。それが嬉しくて抱き締める。

「ん。いい子」

「け、圭さん……。苦しいです……」

そう言いながらも、若菜は俺の背中に自身の細い腕を回してくれる。最近はこうして背中に腕を回してくれるようになった。俺の気持ちに応えてくれているのかな?嬉しい……。

でも、若菜の気持ちが俺に向き始めているなら少し気になることがある。それは呼び方と話し方だ。俺は若菜のことを名前で呼んでいるし、最初から敬語は使っていない。でも若菜は違う。