ここ最近、私物がなくなったと思ったらブランド物と交換されて返ってくる。困っているけど、身近に一つ一万円以上の値段の物にわざわざすり替える人の心当たりもないし、新品になって返ってくるから誰にも相談していない。

「若菜ちゃん、大丈夫?遅いから心配になって来ちゃった」

華ちゃん声をかけられ、私は慌ててリップグロスをかばんの中に突っ込む。そして、「ごめんね。かばんの中身をひっくり返しちゃって」と笑った。



駅前のパスタのお店は、お昼時とあって混んでいる。しばらく待ってから先に案内された。私たちの座る席の近くにはカップルが座っていて、人目も気にせずイチャイチャしている。

「はい、こうじキュンあ〜ん!」

「あ〜ん。めちゃくちゃおいしい!でも俺ら、間接キスだね」

「ヤダもう〜!!」

その様子を見て、メニューから顔を上げた凪沙さんは死んだ目をしていた。

「よくあんなこと人前で堂々とできるわね。神経疑うわ……。イチャイチャしたいなら家でパスタ作ってやれよ」