「若菜は可愛いよ。どんな人よりも俺は若菜が愛しい。だから、誰にも触れられてほしくないんだ」

そう言ってその細い体を抱き締める。とても温かくて、ドクドクと若菜の心音が聞こえくる。若菜の心音は一定のリズムで、とてもゆっくりしているんだ。

それに対して、俺の心音は若菜に触れている時はとても早くなっているような気がする。それはどうしてかわかる。若菜を愛しているからだ。恋のドキドキってやつだろう。本当にあるとは思ってなかった。

「若菜、愛してるよ」

若菜を強く抱き締める。手錠があるからか、それとも俺のことをまだ心の中では怖いと思っているのか、若菜が俺を抱き締め返してくれることはない。それでも幸せなんだ、この二人きりの生活が……。

いつか、若菜の心音も俺に触れた時に早くなってくれたら嬉しい。若菜と俺の気持ちが重なった時、俺は何を感じるんだろう。

まだ二人きりの物語は、まだ序章の途中だ。これからもっともっと甘くしていかないとね?