若菜を椅子に座らせると、若菜は手錠のついた手を俺に差し出す。手錠したままじゃご飯は食べれないからね。

俺は鍵をポケットから出そうとして、その手を止めた。いつもはドラマの撮影やら番組の収録やら仕事があるせいで若菜に食べてもらってる。でも、今日は休みなんだから特別なことができるじゃないか。

「圭さん?手錠、外してもらえませんか?せっかくのご飯が冷めちゃいます」

そう言う若菜の横に俺は座る。そして、不思議そうな顔をする若菜に「今日は俺が食べさせてあげる」と微笑んだ。

「えっ!?い、いえ自分で食べます!!」

若菜は顔を真っ赤にしている。本当、可愛いなぁ……。

「俺がしたいからいいの!」

そう言い、フレンチトーストを食べやすい大きさにちぎる。ふわりと甘い香りが漂った。そして、ちぎったフレンチトーストを未だに顔を赤くしている若菜の口元へと運ぶ。

「はい、口開けて?」

俺がそう声をかけると、若菜はゆっくりと口を開ける。その口の中へフレンチトーストを入れると、若菜は俺から顔を逸らした。