そんなことを考えながら、おぼんに作った朝食を並べていく。若菜がここに来てから、さらに料理の腕が上がった気がする。

些細な幸せが増え、嫉妬や不安を感じることがなくなった今、若菜を監禁してよかったと思っている。こんなにも愛して大切にしているんだから、若菜もきっと幸せだ。

若菜を誘拐して数日が経つけど、ニュースで若菜が行方不明だという内容は報道されていない。誰も俺が若菜を誘拐したなんて知らない。でもこれでいい。これで若菜を独り占めして愛せるから……。

おぼんを手にし、若菜のいる地下室へまた向かう。分厚いドアの前に立つと、中からジャラジャラと鎖の揺れる音がした。若菜が部屋の中を歩いているのかな?

「お待たせ。今日はフレンチトーストとトマトときゅうりのサラダ、オニオンスープだよ」

俺がそう声をかけると、部屋の中を歩いていた若菜はこちらを向く。そして、「ありがとうございます」と控えめに言った。