「本当に可愛い。今日は一日休みだから、たくさん若菜といられるね」

頭を撫でるのをやめ、そっと若菜の手を握ってみる。小さくて柔らかい手だ。指もとても細くて簡単に折れてしまいそう。どんな女優やアイドルより綺麗なこの手には、一体どんな指輪が似合うのかな。考えるだけで幸せだ。

若菜の呼吸が落ち着いてしばらく経った頃、俺は腕につけられたシンプルな腕時計を見る。そろそろ朝ご飯の時間だ。

「朝ご飯持ってくるね」

そう言い、軽く唇にキスを落としてから俺は地下室から出る。若菜のことはきちんと拘束してあるけど、念のために鍵を閉めておくのは忘れない。

地下室を出ると、そこはいつもと変わらない俺の家。普通の家庭より広めのリビングや寝室がある。

「いつか若菜もこの空間で生活するんだよな……」

若菜は、まだあの地下室から一歩も出たことがない。若菜が地下室から出る前に、リビングなどに置かれている家具を若菜好みに変えないとな……。