「最近、駅前においしいパスタのお店ができたんだって。行ってみない?」

華ちゃんの言葉に、私は「行く!かばん取ってくるね」とロッカールームへと急いだ。パスタと甘いものが大好物だから。

ロッカールームはあまり広いとはいえない。一人ひとりに与えられているロッカーも結構狭いんだ。

「わっ!」

凪沙さんと華ちゃんを待たせているから、と慌てていたからかかばんを落としてひっくり返してしまう。スマホや財布、あまり種類の多くないメイク道具が床に散らばってしまった。

「あちゃ〜、やっちゃった……」

慌てて床に落ちた物を拾い、かばんの中に入れていく。しかし、リップグロスを手に取った時、私の手がピタリと止まった。

「あれ?私、こんなリップグロス持ってなかったよね?」

私が持っていたのは、薬局で売っているような安いものだ。しかし、いつの間にか高いブランド物のリップグロスに変わっている。

「まただ……」