「け、圭さん!やめてください……」

私がそう言っても、圭さんは無視して舐め続けてくる。顔を舐めるのをやめたと思ったら、首や鎖骨の辺りを舐めてくるため、私の口から変な声が漏れた。胸がドキドキしている。

「顔、真っ赤にして可愛い。こういうこと、されたことないんだよね?嬉しい」

圭さんは舐めるのをやめ、とろけてしまいそうな私を見て意地悪な笑みを浮かべる。刹那、圭さんの顔が私に近付いてきた。

唇に柔らかい感触、目の前に圭さんの顔、一瞬何が起きたのかはわからなくて、圭さんとの距離ができた時に何をされたのかようやく理解する。ブワリと体に熱が押し寄せた。

「……ファーストキス……」

それしか言うことができない。大好きな俳優さんとはいえ、誘拐犯にファーストキスを奪われてしまった。好きな人とのキスを楽しみにしていたのに、こんな形で……。

「可愛いね、若菜。愛してるよ」

そう圭さんに囁かれた後、また唇を奪われる。セカンドキスまで奪われてしまった。