ファンに愛され、いつまでもこの芸能界で咲き誇れるため、俺はバラエティー番組で見せるような笑顔を顔に貼り付ける。よし、これでいつもの俳優としての紫水圭だ。

黄色い声と拍手は、俺と陵がステージに姿を見せるとさらに大きくなる。一体何人いるんだ?ステージから見た感じだと百人くらい?

ドラマの見どころ、撮影での出来事などのトークを少しした後、いよいよ握手会が始まる。

「圭さんがデビューした頃からファンです!ずっと応援してます!」

「ありがとうございます。応援、よろしくお願いします」

真っ赤に顔を染め、絶対に作っているだろと疑ってしまうような可愛い声の女性と握手をする。手汗がベタベタしてて気持ち悪い。でも、こんなことで俺の笑顔は崩れない。

その後も心の中で毒を吐きつつ、握手を済ませていく。早く終わらないかな。これが終わったら自分へのご褒美に好きな海鮮丼でも食べに行こう。

そんなことを考えながら、太っているくせにショートパンツを履いた女性と握手を済ませる。そしてすぐに「次の方どうぞ」と呼ばれ、次のファンが俺の前にやってくるんだ。