守らなきゃいけないもの、その言葉を開くと真っ先に頭に浮かぶのは若菜だ。無防備で優しくて、純粋でか弱い女性だからちゃんと守ってあげなきゃいけない。

「圭さんが守ってる人って誰なんですか?」

陵のその質問に対して、「若菜」と答えたい。でも若菜のことをまだまだ独り占めしたい。思っているより独占欲というやつが強いみたいだから……。

「内緒だ。でも、守りたい人ができると人生が一瞬にして変わるよ」

そう微笑んで言い、俺は更衣室を出る。陵は首を傾げていたけど、あの言葉は本当だ。俺は若菜を守りたいと思ったから、俺の中にある全ての愛情を注いだ。若菜のいない人生なんて考えられなくて、若菜の笑顔一つで人生が煌めいてしまう。

タクシーに乗り込み、自宅へと向かう。今日も若菜はいい子にお留守番をしていてくれたのかな?今日は七海が用事があって来られないから、監視する人間がいない。若菜が逃げられないとわかっていても、少し緊張してしまう。