俺の姿を見て、陵は人懐っこい笑顔を浮かべて言う。俺も「お疲れ」と返し、また着替え始めた。

「来週で撮影終わりですよね〜。なんかあっという間でした」

長かった映画の撮影ももうすぐ終わりだ。陵は少し寂しそうな顔をする。俺は陵の頭を軽く撫でた。

「そんな顔するな。仕事なんてまた一緒にできるだろ?」

「まあそうですけど……」

着ていた衣装をハンガーにかけ、俺は「先に行くぞ」と言い更衣室のドアに手をかける。若菜が待ってる。若菜にご飯を作ってあげないといけない。

「圭さん」

ドアを開けようとした刹那、陵に声をかけられる。振り返れば陵はどこか不思議そうな顔をしていた。

「どうした、陵?」

「なんか圭さん、一年前くらいにあった握手会の後から変わったなってずっと思ってて……。守らなきゃいけない人がいるんだっていう目をしているから、ずっと気になってたんです。圭さんは誰を守ろうとしているのかなって」