クローゼットのドアに手をかけ、ゆっくりと開く。ドアは簡単に開き、クローゼットの中で可愛らしいエプロンをつけた若菜が「どうして」と泣きそうになりながら体を震わせていた。

「どうして逃げたの?寂しかったんだよ?」

今すぐにめちゃくちゃにしたい。でもここは秀の家。まずは拘束して俺の家に連れて行かないと。そう思い、床に力なく座り込んでしまった若菜に目線を合わせるためにしゃがむ。

「何で!?警察の人が保護してくれてたのに!!」

体を震わせる若菜を抱き締め、俺は「若菜は逃げられないんだよ。俺のそばに一生いる運命なんだ」と優しく言う。抱き締めてしばらくすると、俺の胸元がジワリと濡れた。堪え切れなくなった若菜の目から涙がこぼれたんだ。

「こんなに泣いて……」

若菜の顎を持ち上げ、まだあふれてくる涙に口付ける。若菜が「やっ!」と抵抗しようしたので、素早く手を掴んで固定する。

「やっと捕まえられた、俺のお姫様」