イライラが止まらなくて、俺はすぐに秀に電話をかける。今の時間は夜の十一時過ぎ。確かあいつは今日は非番だと言っていたし、もうこの時間なら若菜は寝てるだろう。

なかなか電話に出ないことにさらにイライラが増す。早く出ろよ!こっちは話したいことが山ほどあるのに!

『もしも〜し』

やっと秀が電話に出た。俺は「さっさと出ろよ!」と文句を言う。秀は適当に謝りつつ、『何の用?風呂入ってるとこだったんだけど』と言う。俺は深呼吸をし、若菜について訊ねた。

「若菜、どうしてる?」

『普通に家事をして過ごしてるよ。それにしても純粋な子だよね〜。一ヶ月近く軟禁状態なのに、何の疑いも持たなくて俺にいつもお礼ばっかり言ってさ』

純粋な心からの笑顔ーーーそれは俺が見れなかった表情だ。若菜は俺の信頼を得ようと必死になっていて、演技だってことが俳優や女優なら簡単にわかってしまうものだった。

「……そろそろ若菜を引き取りに行く」