外は圭さんがいるかもしれないので、圭さんが逮捕されるまでは外出をしないように黒岩さんから言われた。軟禁に近い状態だけど、縛られていないからちっとも苦痛じゃない。

「警察に保護されているんだし、安心して過ごせるよね」

圭さんは今頃、私のことを必死で探しているのかもしれない。私が誰の元にいるか知ったら驚くだろうなぁ……。

そんなことを考えながら読書をするうちにお昼になり、黒岩さんが作っておいてくれた焼きうどんを食べる。

「おいしい!」

圭さんや牧さんのご飯もおいしかったけど、黒岩さんの料理も中々の腕前だ。圭さんたちといい勝負になるかも。

「冷蔵庫に食材あったし、夕食作ろうかな。時間はたっぷりあるし」

黒岩さんには負けるかもしれないけど、保護してもらっているせめてものお礼だ。

夕食の献立を久々に考えつつ、私は鎖に縛られていないこの時間に微笑んだ。



家事を毎日するうちに、気付けば黒岩さんに保護されて二週間ほど経っていた。