「…あ」


森の中を歩いていると
ふと、視界が滲んで

ぽたぽたと涙がこぼれる


……また『悲しい』だ…


ごしごしと涙を拭っても
止まることなくそれは溢れて


さみしい

かなしい


そんな気持ちで胸がいっぱいになる



「……いつも、悲しいばっかりだね」



「…勇太郎」



勇太郎が泣く姿は一度も見たことがない
弱音を吐く姿も

勇太郎はいつも淡々としてる


だけど


いつもいつも「貰う」のは



深い悲しみと
胸が引きちぎれそうなほどの寂しさだけ