「あら、みやちゃん。おでかけ?」

「…友達のところに遊びに行ってくる」

「そう。暗くなる前に帰ってくるのよ」

「うん」


出掛けの所を施設のお姉さんに見つかってしまって、少し慌てる


この前みたいに怒られるかと身構えたけど
このお姉さんはさして気に留める様子もなく、すんなりと見送ってくれた

多分、入ったばかりの新人さんだ


ここのルールや
ここの子供達の事をまだよく知らないんだろう


「よかった」

「また行くのか?」


ほっと息をつくのと同時に、横からそんな声


「勇太郎(ゆうたろう)
うん。行ってくる」

「気を付けろよ。
ここの職員、過保護で過干渉で口うるせーんだから
この前みたいに1分でも門限を過ぎると
またお説教だぞ」

「うん」


同じ施設で暮らしてる一個年下の勇太郎は
こうやって何かと私の事を気にかけて
度々、忠告してくれる

口調は荒いけど、すごく心根の優しい子


「いってきます」

「おう」


そんな勇太郎に手を振って、私は歩き出した