―――……



ロウと再会を果たしてから、数時間後


庵にて


塞ノ神さまと詩織に
あの日の出来事
私の身に起こっていた事のあらましを話した



「きみの中から
詩織の内側の結界と似た気配は感じてた」


「きみが何かをしたのは分かった
けど、それが分かっても
僕やロウの事を忘れてる事実は変わらない



「こちらが無理に干渉して
きみに悪影響が出ても困る」



「曖昧になってはいたけど
きみは詩織の事は覚えていた」



「だから、詩織にきみを託したんだ」



「ロウだけじゃなく
僕のことも忘れてしまっていたのは
きっと、僕が、ロウと切っても切り離せない存在だったからだと思うよ」



4年経っても
声も、姿も、態度も
塞ノ神さまは、あの頃と何一つ変わらない


ロウと一緒にここへ来たときも
驚いたのは、ほんの一瞬で
すぐに柔らかい笑顔を浮かべて
『おかえり』って、言ってくれた


『いつでも来てくれていいからね』
と言ってくれたあの時みたいに




「ロウは
忘れてしまったなら、それで構わない
むしろ、その方が都合が良いって言ってたよ」


「きみを、人として生かすならば
ただの人としての道を歩ませるなら
自分達の事を忘れた方がいいだろう、ってね」


「その方がきみのためだと」



「でも、そんなの本心じゃないのは
一目見れば分かることだったよ」




「自分を忘れてしまったことが
きみがいなくなってしまったことが
悲しいと、寂しいと、全身で語ってた」