次の日も、そのまた次の日も、杉野くんはずっと話しかけてくれた。
「数学Aって、なんか高校生って感じだよな」
「だね」
「音楽と美術どっち選択する?」
「まだ決めてない」
「俺、兼井真白が目の前に現れたら絶対告白する」
そんなことを言う日もあった。
告白されてない。ってことはばれてない?
まだセーフ?
でも、気づいてほしい。
言いたい。
私が兼井真白だよ。って。
いや、何考えてんだ私。
そんなことをしたら夢が潰れる。
たくさんの人の思いを踏みにじることになる。
杉野くんの話をビクビクしながら、そして嬉しい気持ちを殺しながら聞く日々が続いた。


