お母さんは、薬があれば助かる病気だった。
だけどまだ開発途中で使えなくて亡くなった。
オーディション合格3日後のことだった。
並木道19に入ることは小さい時からの夢で、そこを辞めるなんて考えられない。
でも、お母さんと同じ病気に苦しむ人を一刻でも早く助けたい。
お父さんと、並木道19のメンバーと、マネージャーさんとスタッフさんと。
何度も何度も泣きながら話し合って決めた。
研究者になる。
そのために海山高校を受験すると。
そう決めてからは毎日必死に勉強した。
今まで勉強をしてこなかったせいで、お世辞にもいいと言える成績ではなかったけど、本気で頑張った。
私のために泣いてくれた人がいた。
加入直後の私を応援すると言ってくれたファンの方がいた。
だから、絶対に諦めなかった。
そうして勝ち取った海山高校の合格。
絶対に辞められない。
だけど......心のどこかで
「あー彼女にしてぇー」
この言葉を嬉しいと感じてしまう自分もいるんだ。


