入学式が終わり、クラスごとに教室に向かう。
先生、生徒、保護者で階段はごった返し、なかなか前に進まない。
だけど、今の私にはちょうどよかった。
これからのことを、もう一度考えたかったから。
目立たないようにしよう。
誰とも仲良くしない。
部活も......入らないほうがいいか。
でも勉強は頑張らないとな......
そんなことをのんびり考えながら、一段一段階段をのぼってた。
「うわっ」
まずいっ、足を踏み外した。
これから襲ってくる衝撃に目を瞑る。
......あれ?何もない。
恐る恐る目を開けた。
え......誰かに支えられてる?
「大丈夫?白金さん」
「え?あ、ごめんなさいっ」
杉野くん......
杉野くんはゆっくり、私が体を起こすのを手伝ってくれた。
「怪我ない?」
「うん。本当にありがとう」
なんだか顔が熱くなってくる。
だめだめ。友達を作らない、誰とも関わらないって決めたんだから。


