見上げるわたしたちにはかまわず、ひとり階段で立ち止まり、写真を撮りまくっている。
 見たこともない鮮やかな紅葉だから、気持ちはわからなくもないけど。
 なぜかずっとそばにいてくれる鈴木さんたちが、目配せしてため息をついたのを見なかったの?
「い…ながきさん、行ける?」
 ほーら。聞かれちゃったよ。
 気持ちはわかる。
「これ…上ったら下りるのよね。そこ考えてるのかな、岡本のやつ」
 コクコクうなずくのは、これまで話をしたこともなかったほかの組のベンチ組の子たち。
 岡本につきあうと試練の連続で、どんどん結束が強まる気がする。
「やっぱり、身体の不調じゃ…ない、のよね」
 鈴木さんが額の汗をぬぐってつぶやいた。
 本当にねぇ。
 掛居が恭太を独占するからなのかなぁ。
 気にせず、ついて行っちゃえばいいのにね。
 ベンチ組のみんなも、掛居と恭太についていけばいいのに、なんでこんなに機嫌の悪い岡本につきあうんだろ。