ウォーリーを起こさないように。
 ウォーリーが寝ているうちに!
 (よし!)
「あんたたち。早めに点呼するから席について。…よその車両に行ってる子は、知ってる子が連れてきて。いそいで! いいね」
 こくこく素直にうなずく男子たちに、こちらもうなずいてみせて。
 さぁ、行動開始。
「ねぇ稲垣ぃ。(こん)くん、探しに行ってもいい?」
 岡本……。
 そんなに心配なら、ずっとへばりついていてほしかったよ。
「トイレかもだし。とりあえず座っといて。早めに点呼するからさ」
 30リットルの大きな指定ゴミ袋をガサガサ引きずって、1列ABからゴミのチェック、チェック。
 ぽっかり空いた掛居と恭太の席に近づいていくと、まわりの男子の視線をひとりじめ。
「だれが荷物当番なのよ」
 ささやくわたしに、ほっとしたように、ため息みっつ。
「さっすが稲垣さん。内助の功」
「掛居が、きっと稲垣からフォローあるって言ってたぞ」
「うーん。あいつのこと、本当に愛しちゃってんだな、おまえ」
 くだらない話はそこまでにしてもらおうか。
「…で? うちのクラスから降りたばかは、あとだれ?」