すみれの頬を涙が伝う。自分のしてしまったことは最低なことだというのに、涙が止まらなかった。後悔ばかりが押し寄せる。

涙を静かに流すすみれは、ヴェリーナに優しく抱き締められた。そして、耳元で囁くように言われる。

「後悔しているなら、まだ間に合う。あなたの中にある「愛してる」を伝えませんか?私、ヴァイオレット・エヴァーガーデンが代筆いたします」

その言葉にすみれは頷いていた。手紙だと素直に伝えられる。口にできない言葉も、想いも、全て言葉にすることができる。

タイプライターではなく、便箋とペンをヴェリーナは用意し、すみれは伝えたい想いを口にする。


『ギルベルト、あの時、きちんと告白の返事をしなくてごめんなさい。ドイツでは、日本のように告白をしてからお付き合いという流れではないから、日本人の恋愛についての考え方を勉強して想いを伝えてくれたのよね?それを踏みにじるようなことをして、ごめんなさい』