初恋物語~大切な君へ



「バス結構混んでるな。」


「うん…この時間帯は仕方ないよ。」


「バス結構揺れるからこの手すり」
「に掴まって。」



「でも、近藤君は?」


「俺は上の吊革を持つよ。」



「ありがとう。」


「木梨さ、これからちょくちょく」
「LINEして良いか?」


「LINE?」
「LINEならしてるじゃない私達。」


「いや、」
「グループLINEじゃなく個別で…。」


「へっ?」

ガタッ

バスが突然急停車した。
私は隣の女性にぶつかりそうになるが
ぶつからなかった。
近藤君が私の左腕を掴んでくれていた。


「近藤君ありがとう。」
「2度も助けられちゃった。」



「大丈夫か?」




「うん平気。」
「あっ、今日2度も助けられちゃった」
「からお礼をしたいのだけれど」
「考えておいて。」



「じゃ、個別でLINEが良い。」


「えっ?そんなんで良いの?」
「もっとこう、ご飯奢れとかはいいの?」


「うんそれが良いんだ。」
「木梨と色々本の話もしたいし。」



「ふふ♪わかった。」

近藤君の意外差に私は少し驚いている。
こんな自分からグイッとくる人だったっけ?
中学の時しかわかんないけど、近藤君は
いつも受け身だったような気がする。
飼育員の時も私が動物にこれをあげたいと
言うと「良いよ」とか委員会の集まりで
案を出す時も「みんなが決めたやつで。」
って言う。
自分からこうしたいって言うイメージがなかったからちょっと意外な一面を知れて
ちょっと嬉しい。



「木梨、なんで笑った?」



「えっ?うん♪近藤君の意外なところ」
「見れて楽しいなぁって!」
「お友達になれて良かったよ!」


木梨の笑顔は反則だ。
これは昔から変わらない…。
俺の心の底をキュッーっと締めつけるんだ。
そしてもっとその笑顔を隣で見ていたいと
欲が出る。
この時間が今、とても楽しくて仕方がない。


「俺もだ。」

2人で話しをしていると目的の停留所に
着いた。
俺と木梨はバスを降りて目の前にある
図書館の門を渡った。


「木梨、なんの本探してんの?」



「えっと、この世界の真ん中に」
「って言う本。」


「わかった」
「俺も一緒に探すよ。」


「近藤君はなにか借りないの?」


「木梨が読みたい本探しながら」
「良いのあったら借りるよ。」


「近藤君ありがとう。」


私が言うと彼は少し微笑んだ。
それもまた予想外だった。
なんだか今日の近藤君が近藤君みたいじゃないようにみえる。
普段の雰囲気よりこっちのが良いなぁっと
私は思い、2人で手分けしながらたくさんの書籍から探していた。




俺は木梨が借りたがっている本を
探し続けている。
この図書館には色々な本が本棚にたくさん
収められている。
推理物や探偵物、恋愛物にファンタジー系
などたくさんあった。
俺は普段、推理物や探偵物を読む事が多い。
俺は木梨の本を探しながら、自分も読む
推理や探偵物を中心に探していると
1つの作品名に目が止まる。
「僕が君を想うほどその感情は儚い。」
何故かこの本が読みたいと強く感じていた。
まだあらすじも読んでいないのに、
この本は俺を惹き付ける。
俺はそのままその本を手に取って、
木梨の本探しを再開させた。
本を探す事20分木梨の本を見つける事が
できた。
「この世界の真ん中に」っと表されている
本は深海のような深い透明感のある青色のハードブックだった。
それを手に取り俺は木梨を捜しだした。