初恋物語~大切な君へ


山口さんはグッと泣くのを堪えて
教室から出て行った。
俺も静まり返ったこの教室からすぐに出て
、下駄箱にむかった。
早く帰って今日の授業の予習でもするか。
あまり考えすぎると頭がおかしくなる。
恋愛は答えがないから大変だ。
相手の気持ちは数字じゃわからない。
かと言ってこの寄せている想いを隠す事さえも難しいと思う。
昼休みの時の事がまだジリジリと身体に
こびり付くくらい痛い。
考えないようにと必死で俺は違う事を考えながら歩いた。
そして、2階から1階の下駄箱に下る階段まで着いた瞬間、衝撃な場面を目の当たりに
した。

女子生徒が階段から足を踏み外し落ちる瞬間。
その女子生徒は木梨だった。
俺は無我夢中で彼女の名前を叫んだ!
そして俺は木梨の腕を掴み自分の身体に
引き寄せた。
ちょっとでも行動が遅かったら木梨は転落していたと思うとゾッとする。
そして木梨の体温と、バクバクと早い
スピードで心臓が動いてる音だけが響いていた。



圭介編

end











「木梨!」
「木梨大丈夫か?!」



「こっ!近藤君!?」


私は近藤君に助けられていた。
そして徐々にどんな状況なのかも把握した。
私は近藤君に抱きしめられている。
必死で落ちる私を近藤君は自分の方に引き寄せてくれたのだろう。
もし、近藤君がここにいなかったら
私は…っと思うとゾッとする。
近藤君の心臓も私の心臓もバクバクと鳴っている。
きっと近藤君もびっくりしたと思う。
まさか目の前で人が転落するなんて
思ってもみなかっただろう。
とにかくお礼を言わなきゃ。


「あっ…ありがとう助けてくれて。」

足がまだ震える…。
本当怖かった…。


「大丈夫か?」



「うん大丈夫だよ。」
「ごめんね…近藤君怪我なかった?」


「俺は全然怪我はないよ。」
「それよりまだ木梨、足が震えてるから」
「もう少しこうしておこう。」


木梨の足はまだ震えていた。
それに顔色もまど青くとてもじゃないが
俺が身体を離した事で自力で立てる状態ではないとわかった。
それにもう少しだけ木梨に触れたかった。


「えっ!」
「いいよいよ!近藤君身体しんどく」
「なっちゃうし、それに他の人に」
「見られたら近藤君噂なって迷惑かけ」
「ちゃうし…。」



「そんな事より、自分の心配しろ。」
「こんなに足震えてるのに」
「自分で立てるわけないだろ?」
「もう少し甘えとけ。」
「噂なったても俺がちゃんと説明する。」


「近藤君…ありがとう。」


私は近藤君の言葉に甘える事にした。
確かにこの足の状況では自力で立つ事は
まだ厳しくてちょっと不安だった。
だけど近藤君の体温と心臓が妙に私の身体に伝わるからちょっともどかしい…。
背の高い近藤君は私の身体をスッポリと
包めるくらい大きな腕もしていた。
私は上を向いて近藤君をみる。
メガネの奥に映る瞳がこちらをじっと見つめてきていた。


「あっ////!」
「近藤君、せっ!背伸びたんだね!」


私はなにか話題をふって気を紛らわそうと思ったら背の話しをしていた。


「あっ、うん高校入って」
「ちょっと伸びたよ。」
「木梨も髪……伸びたんだな。」


「うっうん…。伸ばしてるから。」


なんかかえって緊張するじゃんこーゆ
話し。
男の人に免疫がないからちょっとした事でも緊張するの何とか隠さないと。
そして、10分くらい経過してようやく
落ち着いてきて足の震えが止まった。



「木梨、足大丈夫そうだな。」


そう言って近藤君は身体を離れかせた。
近藤君ってこんなに親切な人だったんだ。
中学の時も優しいし真面目な人だと思っていたけれどまさかこんなに親切な人だとは
意外だった。
下手したら自分も巻き添いになって転落する羽目になっていたのかもしれないのに。


「本当今日はありがとう。」
「命の恩人だよ!」



「はは!」
「大袈裟だよ木梨わ。」
「まぁ、助かって良かった。」


「近藤君、そんな風に笑うんだね!」



「!?えっ!」
「俺、笑い方変?」



「ううん!」
「変じゃないよ!」
「なんかさ、中学の時もクールな」
「イメージがあったから意外で。」


「イメージか。」



「でも!良い事だよ!」
「今の近藤君の笑顔素敵だと思う!」



「なっ!/////」