初恋物語~大切な君へ



「好きな人くらいいるよ母さん。」
「だから安心して。」



「あら!そうなのね!」
「うまくいくと良いわね!」
「今度お家に連れってらっしゃい。」



母さん…俺の好きな人は雫なんだ…。
って言うとどんな顔、するのだろう。
きっと驚くだろうな…
嫌驚くどころじゃない。
きっと俺と雫を離れさせるだろう…。
それだけは避けたい…。
だから俺は誰にも話せないし、相談も
できない。
苦しくて切なくて…だけど俺はその
恋を選んでしまったんだ。


「母さん…俺の片想いで」
「相手は俺が好きな事は知らない。」
「叶わない恋なんだよ…。」
「それでも…その人の傍に居たいから」
「俺は片想いでも良いと考えてる。」


「優馬や。」
「ばーちゃんはのぉー」
「昔、優馬と同じくらいの歳に」
「初恋をしたのじゃよ。」
「叶わぬ恋じゃたぁ。」
「ばーちゃんはのぉ、担任の先生に」
「恋焦がれていた。」
「親にも言えず友達にも言えなくて。」
「苦しくて苦しくて毎日先生の事」
「ばかり考えてどんどん想いが増す」
「ばかりでのぉー。」
「ばーちゃんは1回自分でゆっくり」
「向き合ったのじゃ。」
「後悔のないようにするにはどうすれば」
「良いのか。」
「そして1つの答えが見えてきた。」
「想いを伝えると言う答えに。」




「ばーちゃん…。」
「凄いや。」




「あははは!」
「あの頃は若かったからのぉ。」
「まぁ、自分が言えるタイミングで」
「先生に想い伝えたよ。」
「答えはわかってたけれど。」
「伝えないまま後悔するよりよっぽど」
「マシじゃったし、次に進めれた。」



「先生はばーちゃんの想いを知って」
「どう返事がきたの?」



「先生は、婚約者がいるって言ったよ。」
「だからごめんと…。」
「だけど可愛い教え子で妹みたいで」
「大好きだって言ってくれた。」
「それを聞いて先生の大好きは私の」
「大好きな意味と違うとハッキリと」
「知らされた。」
「だけど意外と悲しみはなかったのぉ。」
「むしろ、言えてスッキリして」
「時間はかかったけれど新しい恋に」
「進める事もできた。」



「その新しい恋の相手って」
「じぃーちゃん?」


「そうじゃよ。」
「担任の先生を好きになって良い経験」
「をもらって次の恋に活かせたのじゃ。」
「まぁ、ばーちゃんが言いたいのは」
「優馬も後悔のないように」
「時には自分にずるくても良い。」
「伝えないとわからないこともある。」
「決して恐れてはならない。」
「自分に強くなれ優馬や。」




「ばーちゃん、貴重な話しありがとう。」
「俺、焦らず頑張ってみるよ。」


いつか雫に想いを伝えよう。
ばーちゃんの話しを聞いて俺は決めた。
絶対後悔する…。
雫に俺の想いを知ってもらえないまま
雫にもし、彼氏ができるのは嫌だ。
ちゃんと俺も見て欲しい…
絶対叶わない恋だからこそ伝えなきゃなら
ないんじゃないかなと思った。



「優馬、父さんはな、母さんに一目惚れ」
「したんだよ。」
「大学時代によく行ってたファミレスで」
「母さんはバイトしていた。」
「ある日たまたま母さんが俺の座った」
「テーブル席を担当していて、一目見て」
「もう好きになってた。全身にビリビリ」
「と電流が流れた感じの感情でさ。」
「直感だけど俺にはこの人しかいないと」
「思った。」




「ちょっと///お父さん!」
「息子にこんな話し恥ずかしいわ。」



「確かにな(笑)」
「でもな、優馬俺は毎日のように」
「それからファミレスに通って母さんに」
「猛アピールしたよ。」
「色々あったけれど母さんは俺を好きに」
「なってくれて今に至る。」
「最初から諦めたら終わり。」
「諦める決意あるなら当たってから」
「諦める方がマシだ。」




「父さん、結構男前だったんだな!」



「今更気付いたか?(笑)」


「父さん調子乗りすぎ(笑)」
「ありがとうな父さん。」



「あら!もうお喋りしてたら夕方よ!」