ドアを閉める音と家の静けさが容赦なく
雫の耳にまとわりつく。
玄関のドアがこんなにも切なく思った事は
1度もない。
颯太君が帰った途端いつも以上の寂しさや
また早く逢いたいと言う気持ちにさせていた。
私…こんなにも彼の事好きになってたんだ。
彼の優しさ、明るさ、彼といる時自然の
私でいられるこの安心感…
こんなにも心が暖かくなる不思議な感覚。
どれもこれも私にとって初めて。
初めて今日、自分の気持ちに気付けて
良かったと思った。
だけどこの恋は私の中で大事にしたい。
想いを伝えるなどはできない。
私はまだまだ貴方に相応しい人間なれていない。
私はリビングに入り颯太君が持ってきて
くれた胡蝶蘭とテディベアを持って
再び自分の部屋に戻った。
そして、自分の部屋に戻るとすぐ
スマホが鳴り始めた。
胡蝶蘭をとりあえず勉強机に置き
スマホを確認すると兄ちゃんから電話が
きていた。
私はそのまま受話器のマークを押して
電話に出る。
「もしもし兄ちゃん。」
「雫!」
「どうだ?体調は大丈夫なのか?」
「うん。」
「おかげさまで熱も下がったよ。」
「もう大丈夫だとは思うけれど」
「今日の残りの時間も安静にしてようと」
「思う。」
「良かった…。」
「本当、心配で仕方なかったから。」
「兄ちゃん…心配してくれて」
「ありがとう。」
「雫、今俺家に帰ってる途中だから。」
「帰ったら一緒に夜ご飯でも食べよ。」
「えっ!」
「お母さんお父さんも一緒に?」
「いや、俺だけだ。」
「どうしたの!?」
「兄ちゃんなんか忘れ物した?」
「バーか!」
「雫の事心配でたまんないんだよ。」
「仮に忘れ物してももうこの時間から」
「取りに帰るようなめんどくさいこと」
「しねぇーよ。」
「でも、ばーちゃん家から電車でだと」
「3時間はかかるよ?」
「もう既にそっちに向かってる。」
「後1時間後には着ける。」
「わかった。」
「気をつけて帰ってきてね。」
「あぁ。」
「それじゃ、今から電車乗るから。」
そう言って兄ちゃんは電話を切った。
はぁ…私って本当、兄ちゃんに心配かけて
ばっかりだなぁ。
もっとちゃんと私…しっかりしなくちゃ。
兄ちゃんが安心できる妹に。
あっ、胡蝶蘭どこに飾るか考えないと!
私は再び胡蝶蘭とテディベアを持って
色々な場所に置いてはしっくりくる
場所を探した。
そして遂に良い場所を見つけて置いて見る。
そこは出窓の少し小物など置けるスペースがありそこに胡蝶蘭とテディベアを置くとしっくりきたのでここに決めることにした。
私は置いた胡蝶蘭を見つめていた。
花言葉…どんな花言葉なんだろう…。
今度教えてくれるみたいだから約束は
ちゃんと守ろう…。
すごく気になるけど(笑)


