「わかりました。」
「あっ…。」
「あっ…(笑)また敬語。」
「ごめんなさい。」
「大丈夫だよ。」
「あっ!そうだ名前!」
「名前同士で呼ぶとタメ口で」
「話せるかもよ!」
「そっ!そうなんですか?」
「うん!」
「雫、ほら呼んでみて!」
俺はやっと前から木梨さんの下の名前で
呼びたかったのが今ようやく叶えられた。
自然な流れの感じだから大丈夫だよな?
「あっ…。」
彼は自然にもう私の名前を呼んでいた。
すごく自然に…。
前からそう呼ばれていたみたいな錯覚に
おちるくらい本当に自然だった。
彼の透き通った柔らかい声で「雫」と呼ぶ
瞬間全身が熱くなる。
きっと免疫ついてないからだろう。
美桜と兄ちゃんやお母さん、お父さんぐらいだもん。
今まで名前で呼ばれていた人わ。
だからきっとその内慣れるよね。
「えっと…そ…颯太君…。」
「うん!嬉しい(笑)」
「まぁ、わがままを言うなら」
「颯太って君を外してくれたら」
「さらに嬉しいけどそれは俺を好きに」
「なってくれたらで良いよ。」
「好き!?」
「うん!」
「さっきも言ったろ?」
「俺は雫が好きだって、だから」
「好きになってもらってから呼んで」
「もらうようにする。」
「なっ!///」
「どこからそんな自信くるの!?」
「あっ、雫ほら敬語の呪い解けた」
「でしょ?(笑)」
「本当だ…。」
待って…なんか颯太君の流れに呑まれてるよね私…。
なに、これ凄すぎる…こんな自然にタメ口で話せるようになれるものなの?
でも嫌じゃない感じがなんだか歯がゆくて
変な気持ち。
私、もしかしてとんでもない人と友達になっちゃった?
「雫、スマホ貸してみ?」
「えっ?なんで?」
「いいからいいから。」
「はい…。」
私は言われるがままスマホを渡した。
どーするつもりなんだろう…。
私のスマホには兄ちゃんと親と美桜の
連絡先しか入ってないよ。
颯太君は私のスマホを受け取ると私の
スマホをイジりだした。
「雫…はいありがとう!」
「う…うん。」
「俺の番号とLINE友達登録しておいた。」
「えっ!?」
「当然だろ?俺ら友達だし(笑)」
「そうだけど…。」
「こーゆの初めてで。」
「どう反応していいかわからなくて。」
「そこは素直に喜ぶんだよ?」
「わかったありがとう。」
「素直でよろしい(笑)」
そう言って俺は雫の頭を撫でた。
本当なんでこんなに愛おしいだよ。
不器用なのに一生懸命で素直すぎる。
つい、触れたくなるんだよなぁ。
「あっ、雫そろそろ帰ろうか。」
「遅くなると危ないから。」
「最近少し肌寒くもなったしな。」
「そっ…そうだね。」
「それじゃ、今日はこの辺で。」
私は美桜を待たせてしまってる事がすごく
心配で申し訳なくてハラハラしていたから
颯太君が帰ろうと言ってくれたから帰るタイミングが出来てホッとし、私はそのまま帰ろうとした。
だが…颯太君に右手首を掴まれた。
「いやいや待ってって!」
「この流れは一緒に帰ろうよ!」
「送ってく。」
「一緒に帰るの?!」
「颯太君、私親友待たせてて…」
「親友と帰るつもりなの。」
「親友って長谷川さん?」
「うんそうだけど。」
「長谷川さんも誘って帰ろうよ!」
「ぇぇええええ!」
私は予想外の展開に驚きすぎて思わず
大声を出してしまった。
それと同時に後ろの大きな花壇の方でドスっと人が倒れる鈍い音が響いた。
私と颯太君は同時に音がした方向に振り向き驚愕した。


