初恋物語~大切な君へ


そう、俺は木梨さんの事が気になり始めてから女子が集まって来そうな時は避けていた。
木梨さんだけに見てもらいたいし、
木梨さんにしか見て欲しくなく。
だから合コンもナンパも遊びも断っている。
女友達は別だけど。
俺の女友達は決して俺を異性としては見てなく古い友人であり俺や慎吾、圭介の理解者でもある。
俺が木梨さんの事好きとも知っている。
今度木梨さんにも紹介したいくらい
良い奴達だ。


「ごめん悪いけど俺今用事あって」
「急いでるから行くね。」




「用事終わったら私達とカフェ」
「行かない?」



「ごめん俺…そーゆのやめたんだ。」
「だからごめんね。」
「それじゃ。」

俺はそう浅井花音と言う人物に返事を返し
走って体育館裏に向かった。
この時の空は茜色に染まって綺麗だった。

体育館裏に着いた俺はまだ木梨さんが来てない事に一安心と寂しさの両方の感情が重なった。
木梨さんを待たせなく済んだ安心と
やっぱり来ないんじゃないかと思う寂しさ。
とりあえず待とう。

※颯太編end※





私はゆっくり前へ進んだ。
進む度に心拍数が上がるのがわかる。
やはりこのまま気付かれないまま逃げ出したいと言う思いまでしてきている。
過去を思い出してしまう…この緊張感が
フラッシュバックしそうになる。
ヤダ…泣きそう…
その時彼は私に気付いてこっちに向かってきた。




木梨さん…やはりこないのかな…
ヤバ…自信なくなってきてんじゃん俺。
そう心が折れそうになっていた時背後から
ゆっくりとこちらに進んでくる足音がしている。
きっと木梨さんだ。
足音で伝わる…緊張感と不安が入れ交じる思いが足音に表れる。
俺まで緊張してきてすぐに振り向けないで
いた。
そうすると足音が止んで一気に静けさが
周りを囲んだ。
俺がしっかりしないと!
俺は意を決して木梨さんのところに10歩くらい進んで辿り着いた。




「木梨さん!」
「来てくれてありがとう!」


そう俺は笑顔で木梨さんの顔を見ると
木梨さんは泣きそうな顔をしてこっちを
見ていた。

このまま抱きしめたくなる。
そして、大丈夫怖がらないで俺は木梨さんの事が大好きなんだ。
木梨さんを幸せにたいんだと言いたい衝動をグッと堪えた。


「木梨さん大丈夫?」
「泣きそうな顔してるみたいだ。」



「大丈夫です…ちょっと緊張している」
「だけなので…。」


バレてしまった。
私、どうしたの?
普段なら自分の感情我慢できるのに泣きそうになるし、ドキドキするし意味わかんない。
とりあえず平常心に戻して対応しなきゃ。


「あの…お話しってなんですか?」
「私、吉川颯太君に何かしましたか?」


「木梨さん面白い(笑)」
「案外せっかち?可愛い(笑)」
「それに俺をフルネーム呼ぶ人」
「いないからすごく新鮮!」



「なっ!」
「私は要件だけ知りたいです。」
「私、こーゆの苦手なんです。」


「大丈夫、俺が全部受け止めるし」
「木梨さんが苦手なの俺が治すよ。」
「話しってのは、木梨さんと友達に」
「なりたいんだ。」



「えっ…?」
「私と友達…?」
「ちょっと意味がわかんないです。」