初恋物語~大切な君へ

そして更に時間は過ぎ去り、昼休みの時間になっていた。
昼休み時間の始まりのチャイムと同時に
私は美桜のいる席へ、まずは自分の椅子を
運びその後お弁当を持って座った。


「しーずーく!」
「やっと昼休みだね!長かった~!」


「私は早かったよ…時間経つの。」



「なんか今日の雫、学校バージョンの」
「雫じゃないよ?」
「それに珍しく、英語の問題答えれない」
「とか重症じゃない?」



「私もそう思うよ…。」
「今日は調子が悪いのかも…。」
「はぁ~。」


雫は無意識にため息を漏らしていた。
親友のこの珍しい様子にちょっと心配である。
朝からもちょっと吉川颯太の事で心配だったけど、あの後雫が自分の席に着いてから
更に様子がおかしくて心配。
最近の雫は吉川颯太に気が走っている。
苦手だからこそ余計なんだろうけど、
それだけじゃないような気もする。



「ねぇ雫?」
「あの後、吉川颯太と何かあったでしょ」
「隠し事は無しだからね。」
「1人で抱え込むの禁止って前、約束」
「したでしょ?」




「あのね、挨拶された。」
「それでね、放課後体育館裏に来て」
「欲しいって言われて…。」


美桜に報告すると美桜は、お弁当に入ってた玉子焼きを食べてる途中で噎せていた。
美桜はすぐさまお茶で流し込んでから
ビックリしたぁっと呟いている。


「ビックリしたぁ…。」


「美桜ごめん」
「驚かせてしまって…大丈夫?」



「私は全然平気。」
「玉子焼き噎せたより雫の話しが」
「ビックリだよ。」



「だよね…。」
「私もすごくビックリで…。」
「5秒くらい時が止まったように」
「感じたよ。」


「でも、何故体育館裏に?」


「話しがあるって…。」



「それって…。」

雫に告白?
それはダメだって…。
だって雫のトラウマじゃん…。
イジメになった原因でそれを思い出させてしまうじゃん。
せっかく高校では目立たなくする為に
地味子演じてるのに。




「悪い話しじゃないからって言われた。」
「怖がらないで欲しいって。」
「きっと、私怖がってた表情になって」
「たのかも…。」
「向こうは嘘はついてるようには」
「見えなかったけど…。」



「雫どーするの?」
「この場合、雫次第だよ?」
「雫が少しでも行きたいって気持ちが」
「あるのなら行ってみても良いと思う。」
「行きたくないって気持ちが強いので」
「あれば行かない方が良いと思う。」
「少しでも行きたいって気持ちあるなら」
「これ、良い機会だと思うの私。」


「良い機会?」


「そ。」
「雫自身は吉川颯太と話して嘘ついてる」
「ようには見えなかったんでしょ?」
「だったら過去を克復する良い機会」
「なんじゃないかなって。」
「いずれかはぶつからないといけない」
「壁なんだし。」
「それに、なにかあっても私と優君が」
「いるじゃん?強い味方が(笑)」


美桜の言う通りいつかは過去と向き合って
過去に克復しなければならない。
1歩前へ進まなきゃいけない時は必ず訪れると前にも美桜から言われていた。
吉川颯太君…か。
苦手な人…。
だけど悪い人ではなさそうだけど…。
これをきっかけで過去を断ち切る事ができるのなら…。


「美桜、私放課後行ってみる。」
「すごく不安で怖いけれど頑張る。」