初恋物語~大切な君へ

俺と雫はコタツに向かい合わせに
座っていた。
俺は雫の横へ移動する。
俺と雫はキスが出来るような
至近距離になっていた。


「颯太君!?」


ちょっと待って、近っ!近いって!
急になに……どう言う事なのこれ。
こんなの心臓が持たない……。
颯太君と付き合ってた時こんな事
あったなぁと思い出してしまった。


「雫……。」



「ちょっと、近いよ!」
「なんでこんな事するの……?」




「何でだと思う?」



「颯太君はずるいよ……。」
「私の気も知らないで」
「距離詰めてくるし。」


あぁ……もう……ヤダ……。
なんで私だけこんなにドキドキさせられる
のだろう。
なんで私こんなに悩まされているの?
本人は平然と近付いて……。
もういいや、私颯太君に好きって言ってやる。
今度言おうと思ってたけれど、
もう言ってやるんだ。
そして、ちょっとは颯太君も悩んじゃえ
困っちゃえ。
私の黒い部分が爆発した瞬間だった。




「颯太君の事諦められないじゃん。」
「どうしてくれるの?」
「この気持ち……。」
「私、颯太君の事好きで仕方がないんだよ。」
「こんなに近付かれたら」
「諦められなくなるじゃん。」


「それ……本当!?」



「嘘言ってどうすんの?」
「本当だよ……。」



俺の目から勝手に涙が出ていた。
最高に幸せな瞬間てこの事なんだろうな。
雫の口から俺の事を好きで仕方がないって
言った言葉。
もう一生忘れない。
でも何故諦める方向なんだ?


「ちょっ……!」
「颯太君、涙出てる!」



「ごめん……マジで嬉しすぎて」
「勝手に涙が……出てしまった。」
「ってか俺の事を諦める方向だったの?」



「だって、私の事友達って言ってたから。」
「それに、颯太君イタリアの」
「支店長の娘と婚約したってあの時」
「言ってたからもうその人と」
「結婚もしてると私思ってた。」
「みんなに報告しないだけで。」



「いやごめん……。」
「俺が悪い……。」
「まず俺からも伝えたい事ある。」




「伝えたい事って何?」


やっぱり無理って事だよね?
私はそんな事を言い出す想像していると
私も涙が止まらなくなった。



「ちょっと……雫まで泣くなよ。」



俺は自然と雫を優しく抱きしめた。



「俺も雫の事大好きだよ。」
「きっと俺、雫が想像している」
「以上に俺は雫に依存してるよ。」



「だけど、颯太君」
「支店長の娘さんと結婚してないの?」
「その為に私と別れたんじゃなかったの?」



「雫、あの時別れた本当の理由を」
「言うよ。」



俺は雫に、あの時の本当の別れた
理由を説明した。



「えっ……じゃ、私のお父さん」
「倒産寸前だったって事?」
「じゃ、私と私の家族の事を」
「守って別れたって事?」


「ああ……本当の理由は」
「そう言う事だよ。」


「えっと、じゃイタリアの娘さんと」
「婚約ってのは?」



「あれも嘘。」
「イタリアに行ってイタリアの支店を」
「俺が立ち上げたのは本当。」
「雫に本当の事話したら」
「あの時きっと、私の事は大丈夫。」
「迷惑かけられないよって言うでしょ?」
「んで、お父さんの倒産して辛くなるのを」
「黙って平気な顔して俺を」
「頼らなかったっと想像つくからさ。」
「だから最初から俺は雫には」
「本当の事言わず陰から守ろうと」
「思ったんだ。」



「そうだったんだ……。」
「ありがとう颯太君。」
「だけどね、私颯太君と別れた事が」
「1番辛かったよ。」
「どれだけ辛かったか……。」
「忘れようとしても忘れられないし」
「しかも、圭介と新しい1歩踏み出したのに」
「突然日本に帰ってきて」
「また私の気持ちをいとも簡単に」
「持って行くし。」
「だけどね、私こんなにも」
「颯太君が好きでどうしようもないの。」




「うん……。」
「俺も雫が好きで堪らない。」
「雫の家族を守れたけれど、」
「嘘をついて雫と別れた事、」
「ずっと後悔してて俺も忘れられなかった。」
「圭介と付き合ってるって聞いた時、」
「諦めないと……圭介と雫が幸せなら」
「それで良いと自分に言い聞かせたけど」
「無理だった……募る想いが」
「加速するばかりだった。」