私と圭介は結婚式場を離れ、
圭介の家に戻ってきた。
車の中での圭介君は考え事をしていたのか
ほぼ無口に近かった。
私も今日本当の自分の気持ちを
圭介に伝える為、緊張して無口に近かった。
きっと圭介……怒るようね。
幻滅されちゃうよね……。
ごめんね……最低な私で。
「雫、先着替える?」
「あっうんそうする。」
私は、圭介の家に置いてた私服に
着替えなおした。
圭介も家着に着替え直し、
圭介がコーヒーを淹れてくれたのを
2人でまったりと飲んで一息ついた。
「なぁ雫、今から朝言ってた話し」
「していい?」
「うん……。」
「私も圭介君に言わないといけないこと」
「あるの。」
「雫が言わないといけない内容」
「大体想像つけど、一応聞いておく。」
「先言っていいよ。」
「圭介……ごめん……」
「私、やっぱり颯太君の事忘れられない。」
「颯太君の事まだ好きって気持ちが」
「残ってるし、このまま圭介を傷つけたくない。」
「雫は、俺と付き合ってる中」
「颯の事忘れる努力や俺の事ちゃんと」
「好きになってくれてたの俺知ってるよ。」
「まぁ、傷ついてないっては言えないけど」
「このままでは駄目な事はわかってる。」
「これ以上、雫を縛り付けたくもないし。」
「今日話したかった事言って良い?」
「うん。」
「雫、別れよう。」
「俺正直辛いけど、雫が幸せじゃなきゃ」
「意味がないんだよ。」
「雫を幸せに出来るのは」
「俺じゃなかったって事。」
「私、ちゃんと圭介の事好きになりかけてた。」
「だけど、颯太君の存在が消えなくて」
「本当にごめんなさい。」
「謝るなって。」
「これは、お互いの為の別れだから。」
「俺もこれで前に進めるし」
「雫も颯の事を自由に想える。」
「それに、俺は雫の傍にいられなくなるから。」
「転勤の件?」
「そう、俺再来月には転勤する事になった。」
「もう決まったの?」
「さっきの結婚式の時、」
「雫がトイレ行ってる間に」
「会社から電話あって辞令が決まったって」
「報告受けた。」
「何処に行くの?」
「札幌に行くことになった。」
「そこに新しい事務所が建つから」
「そこで頑張って欲しいと言われた。」
「そこの事務所を任せられる事に」
「なって、挑戦してみようと思う。」
「私、応援する!」
「今度みんなと遊びに行くからね。」
「うん、また落ち着いたら連絡する。」
「圭介、今まで本当にたくさんの」
「愛情と愛してくれてありがとう。」
「本当に私、幸せだった。」
「私も前進もうと思う。」
「うん、俺も応援する。」
「なぁ、雫?」
「なーに?」
「最後に抱きたい……。」
「それで、俺は前に進める。」
「最後に雫を独占させて。」
「わかった……。」
こうして、私と圭介は最後の夜を
過ごした。
圭介の最後の愛情は何度も何度も
身体に溶かしてくれた。
時に激しくそして優しく私を
包み込んでくれた。


