美桜に背中を押されブーケトスに
行くことになった。



「それではみなさん!」
「行きますー!」
「次結婚する人はだーれだ!」


そう言って新婦の真由子さんは
ブーケを空高く投げた。


一応取る振りしないとね。
みんな必死に大きく腕を突き上げて
ブーケを取ろうとしている。

サッと私の手にブーケが触れてきたので
咄嗟に取ってしまった。


「あっ……取っちゃった。」

あまりにも予想外の展開すぎて、
拍子抜けた声が出てしまった。
すると横の人が笑顔で言ってくる。

「おめでとう!」


「あっありがとうございます。」


私はみんなの元に戻った。

「ちょっと凄いじゃん雫!」
「ブーケまさか雫が取るなんて♪」


「美桜~私取るつもりなかったのに」
「取っちゃった~。」
「ちゃんと欲しい人に渡れば良かったのに。」
「ふさわしい人いっぱい居たのに。」



「いやいや、雫も充分ふさわしいでしょ。」



「美桜……。」


「ねぇ、そろそろ披露宴会場行かないと。」

颯太君がそう言ってベンチから
立ち上がった。

そして私達は披露宴に参加し、
無事結婚式全て終了した。


「雫、この後の二次会出る?」


「颯、ごめん俺と雫は出れない。」


圭介が割って話しに入ってきた。
雫、二次会出ないんだ……。
もっと雫を見たかったと凄く寂しさ
が溢れた。
俺……ちゃんと圭介に言おう……
俺の正直な気持ちを……。
やっぱり諦められない……雫が大好きで
胸が苦しい……。



「そっか……。」


「じゃ、みんなまた。」



「あっうん!」
「圭介君も雫も気をつけてね!」



「美桜も兄ちゃんも颯太君も」
「二次会の帰り気をつけてね。」



圭介は雫の腰に手添えて
雫は圭介と一緒に遠ざかって行って
しまった。
張り裂けそうな気持ちになる。
雫の隣りに居たい……どんどん欲が
むき出しになる。
雫の隣には俺が良い……。