カバンに入れているスマホのバイブが
響く。
私はスマホを取り出すとそこには
圭介と表示されている。


「もしもし。」
「圭介?」


「雫、お疲れ様。」



「圭介もお疲れ様。」



「今日、一緒にご飯食べよ。」
「俺も今からそっちに向かう。」



「わかった。」
「それじゃ噴水のところで待ってるね。」



私は圭介を待つ為、噴水へと向かった。
ここの噴水は待ち合わせ場所としても
有名で、人もそれなりに多い。
案の定今日も平日の夜だと言うのに
結構な人が待ち合わせに利用していた。





無事俺は、餞別の贈り物を買い終え
散歩がてらブラブラと噴水のある公園に向かった。
噴水のある公園には出店もいくつかあった
事を思い出し、そこで飯を食って帰ろうと
予定を立てた。
噴水のある公園に着いた俺は早速、
出店の方に向かいハンバーガーを購入し
噴水近くのベンチに座って、
ハンバーガーを口に頬張った。
ここいつも思うけど待ち合わせしている
人が多いなぁ。
ハンバーガーを食べ終えそろそろ家に
帰ろうと立ち上がりふと噴水の所を見ると
女性が1人絡まれているのを目撃する。
見覚えのある姿だった。
雫!?
俺は身体が勝手に反応し、雫の所へと
急いで走って行った。




噴水の傍で圭介を待つこと15分が
経過した頃、1人の見知らぬ男性に
話しかけられた。


「あの!」



「はい。」



「僕と一緒にこらから」
「夜ご飯でもどう?」


「すみません、私彼氏と待ち合わせ」
「しているので。」


「彼氏やっぱいるんだ。」
「いいじゃん、これから用事できたって」
「断って僕と行こうよ!」


「無理です!」



「いいからいいから!」


そう言って知らない男の人は、
無理やり私の手首を掴み引っ張り出しながら
反対の手で私の腰に手を回してきた。
周りの人達は見て見ぬふりをしている。
嫌……怖い……誰か助けて……。
こんな時に思い浮かんじゃうのはどうして
颯太君になってしまうの。
圭介じゃないといけないのに。
そんな時、力強くもう1人の人に
身体事引っ張られその人の腕の中に
スッポリと身体が包み込まれた。
安心するこの感覚……覚えがある感覚。
颯太君だった。





「俺の彼女になんの用ですか?」




「彼氏?」
「ねぇ、その子僕に頂戴。」
「僕その子に一目惚れしたんだよ。」



「ふざけるのも大概にしろ!」
「無理やり女性を引っ張って」
「どこか連れて行こうなんて悪趣味だぞ。」


颯太君がものすごく怒っている。
力強く私を抱いてくれている腕から
伝わる体温が安心感を与えてくれている。
なんでピンチな時に来てくれるの……。



「いいから、その子を頂戴。」



「ふざけるな!」
「雫、行こ……。」




「彼氏さーん調子乗りすぎ。」





「はぁ?」
「調子乗ってるのはどっ!!」



颯太君が殴られそうになる。
ヤダ!相手を止めなきゃ!
だけど身体が動かない。
そんな時私が知っている姿が相手の腕を
掴み上げた。