カールトンホテル付近のデパートに、
私達は到着した。
デパートには平日の夕方だと言うのに
沢山の人達で賑わっていて、
土日の感覚になってしまう。

「土日関係なく」
「平日でも多いのね。」


「そうですね。」
「私もびっくりです。」



「さて、木梨さんどこから回る?」
「ディナーの時間が19時だから」
「1時間30分までは色々見れるわよ。」


「そうですね」
「最近、バスボブにハマってるので」
「WASHのお店が見たいです!」


「偶然ね!」
「私、WASHのボディソープを」
「使ってるのだけれど」
「それがもう無くなりそうだから」
「近々買おうと思っていたところなの。」
「それなら早速行きましょ。」


私達は2階フロアーにあるWASHの店に足を
運び坂垣さんは目的のボディソープを購入し、
私は、好みのバスボブが見つかったので
バスボブを2個購入した。
なんだかんだでWASHの店で盛り上がって
結果、WASHで結構時間を費やしてしまって
いた。


「木梨さん、私達意外とWASHで」
「時間を潰してたみたいで、」
「良い時間になったからそろそろ」
「向かいましょ!」


私と坂垣さんは、デパートを出て
カールトンホテルへ向かった。



カールトンホテルの1階ロビーに着き、
そのまま1階のレストラン会場まで
歩いてようやく到着した。
すると受付のウェイターが席まで案内
してくれて、いかにも高級な椅子に
座らされた。


「木梨さん、ここのウェイターの制服」
「かっこいいわね。」
「ここのレストラン、ウェイターしか」
「いないみたいよ。」



「そうですね。」
「タキシード風の制服で清潔感がある」
「感じが良いですね。」
「でも珍しいですね」
「男性だけのレストラン。」


「確かにね。」
「しかも、周り見てみたら」
「良い男ばかりよ!」



「あはは(笑)」
「坂垣さんといると楽しいです。」



「そう?」
「それなら良かった!」



私達がそんな話をしていると、
1人のウェイターがこちらに近づいてくる。
すると、周りの女性達からざわめきが聞こえる。



「お待たせ致しました。」
「本日、こちらの席を担当致します」
「吉川でございま……す!」
「雫……?」



吉川……颯太君と同じ名字の人か。
颯太君どうしてるだろう……。
少しずつ私も忘れられるように努力をしている。
前よりかは考えなくなって1歩進んでるなと思う。


「ちょっ!ちょっと、木梨さん」
「知り合い?」
「めちゃくちゃイケメンじゃない!」


そう、こそっと坂垣さんが私に言ってきた。
私はまだ現実に起きてる事がわからなかった。
と言うか久しぶりに颯太君の事を
考えてたら周りを見ていなかったから
坂垣さんの声で正気に戻ってウェイター
を見上げると……。



「えっ……?」
「な……な……なんで?」
「嘘でしょ……颯太君がなんでここに」
「いるの。」




今日、俺は11時から21時00分まで
のシフトで出勤していた。
今日の担当テーブル番号は
3番と7番テーブルで今日も順調良く
仕事をしていた。
そして19時になると3番テーブルに予約の
坂垣様、大人2名の担当をやる事になり
定刻になったので3番テーブルにお水を
2つ持って向かっていた。
遠くからは分からなかったが、見覚えのある
女性が笑顔を見せながら座っている。
俺は席に到着すると、いつものテンプレートの
セリフを言っていたが俺の左横の女性に
目を向けるとそこには雫が座っていた。
下を向いていたけれど俺にはすぐに雫だと
わかった。
えっ……なんでここにいるんだ?
これってどーゆう事?
俺はテンパりながらも心の底で嬉しさで
胸がいっぱいになった。
そして俺はいつの間にか雫の名前を呼んで
いた。