「俺もそろそろかな。」


そう一言圭介が呟いた。
言っちゃったよ……颯太大丈夫かな……?
俺は颯太の顔を見た。
あちゃーやっぱりショックを隠しきれてない。
圭介も圭介だよ、絶対こうなるの分かってて
言ってる。
なにを考えているか俺にはわからないけど
とりあえず見守る事しよう。



「えっ……?」


圭介……と雫が……結婚……。
そんなの耐えられない。
だけど、雫の幸せを考えたら
その方が良いのかもしれないって理屈では
理解しているけれど……。
そんなの無理だよ。



「えっ……でも圭介まだ雫と」
「付き合って1年目だ……ろ?」

俺は付き合ってと言う言葉を発する事さえ
苦痛になっていた。
全然忘れられないよ……雫……。



「1年目だからと言うのは」
「別に関係ないと思うんだけど。」
「タイミングの問題もあるしさ。」

俺はカマをかけた。
颯はまだ雫の事を好きなのか知りたかった。
知ったところで取られる気もサラサラないけど。
さすがに9年経ってるから颯の中で
もう整理がついていると思っていた……
けれど……あの反応……まだ、雫の事
好きなんだと確信に変わった。



「そうだけど……。」


俺はその言葉だけしか言えなかった。
俺がつべこべ言える立場ではないけど、
言えるなら言いたい……
まだ雫の事好きだって……
一時も忘れた事ないって……
グッと俺は堪えた。


「なっなぁ!」
「2人共、空気重いって!」
「颯太!現実、圭介と木ナッシーは」
「付き合ってる。」
「それは変わりない事実だし、」
「9年前颯太はそれも覚悟のうえ」
「嘘ついてまで別れたんだろ?」
「木ナッシーの事想って。」



「うん。」



「圭介も颯太も1番大切なのは」
「木ナッシーの幸せを考える事だよ。」
「木ナッシーはきっと自分の事で」
「ギクシャクして欲しくないと思う。」


「「ごめん。」」


「とりあえず飯食に行こ!」



「慎吾、ありがとう俺」
「颯に嫌な思いさせてしまうところだった。」



「俺の方こそ慎吾、圭介ごめん。」
「暗い話ししてしまった。」
「せっかく久しぶりに会えたのに」
「空気悪くしてしまってごめん。」


「全然平気だって!」
「こればかりは仕方ない事だし、」
「俺は2人共幸せになって欲しいだけ」
「だからさ。」



「慎吾が大人になった。」


「ぷッ!颯、なんだよそれ(笑)」


「えっ!?だって高校生の時の」
「慎吾って結構子供ぽかったからさ」
「考え方とか(笑)」



「ちょっと2人共いじるなよ(笑)」
「俺もちゃんと成長してますよ。」
「さてさて飯食に行こ!」


こうして俺達は外食しに行くため、
慎吾の家を出た。
圭介は俺と慎吾の後ろ側で電話で何か
話していた。
きっと仕事の話しだろ。
弁護士って凄いと思う。
なかなか休みも取れないだろうし、
場合によっては加害者の弁護もしないと
いけないから精神的にも堪えそうだけど、
圭介はこの性格だからメンタルは強いん
だよな。